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遺産分割協議・調停の諸問題と解決例(1) 2024.2.8

1 遺産分割協議と調停の使い分け

最初に遺産分割の協議と調停の使い分けの仕方について説明します。

私は家庭裁判所の内外から30年以上の間遺産分割事件を取り扱ってきたので件数だけは人一倍こなしています。

それだけではなく、裁判所側から見た問題意識と当事者から見た問題意識が食い違う場合も多く経験しています。

当事者間の協議の場合は当事者間の問題意識の調整だけを考えれば良いのですが、調停の場合は当事者の問題意識の調整に加えて裁判所との問題意識の調整が必要になります。

このことは、裁判所の実務運用やルールを熟知した上でそれを使いこなす技術が不可欠です。

ですから、調停経験が未熟な代理人では遺産分割調停が無意味な「あつれき」の場と化し、調停の主導権を握ることができなくなります。調停でできないことを強く要求してもできないことはできません。裁判所が法律などのルールに従って動いているからです。

2 遺産分割調停の大原則

遺産分割調停の大原則は合意ができない場合は裁判所が審判で判断することになるということです。このことをよく認識することが大切です。言葉を換えると、どんなに反対していても最後は裁判所が法律を適用して判断してしまうということです。

法律を適用して裁判所が判断するとは、次のことを意味します。

① 訴訟事項

調停で問題とできたことが問題とできなくなる(審判事項と訴訟事項の分離)

② 前提問題

相続財産の範囲の争いなど「前提問題」の合意ができない場合は、合意できない相続財産を除いた一部遺産分割の審判にするか(除外された相続財産は訴訟事項とされます)、または、調停自体を取り下げて相続財産の範囲を定める訴訟で解決をした後に再調停を申し立てるかのいずれかの手続きになるのが通常です。

③ 付随問題

使途不明金問題などの被相続人の預金口座などから引き出された現金などが相続財産かどうか問題となる場合など遺産分割時には存在しない、従って、本来は遺産分割の対象とはならない財産が問題となるような場合(付随問題)には本来は訴訟事項であり、相続財産に含める当事者の合意がないかぎり、調停や審判では扱えません。

ただし、令和2年4月1日施行の改正民法との関係で誤解があるようです。

民法906条の2では、遺産分割前に被相続人の預貯金等が引き出されたような場合には相続人全員の同意により、引き出された預貯金等が遺産の分割時に遺産として存在するものとみなすことができ、相続人の1人又は数人により預貯金等が引き出されたときは、引き出した相続人を除いて同意をとることができます。

そうすると、例えば、相続人が3人で、Aが預金を引き出し、他の2人の相続人B,Cが引き出された預金を遺産分割の対象とする合意をした場合には、引き出された預金は当然に遺産分割の対象となりそうです。なぜなら、民法906条の2は、「遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合」と規定し、預金を引き出した動機や引き出された預金が何に使われたかは一切問題とされていないからです。

ところが、実務運用は違います。預金を引き出しの動機や使途によって「財産処分」の該当性を検討する傾向にあります(被相続人の生前中の治療費の支払い、固定資産税等の税金の支払い、葬儀費用の支払いなど)。

そうすると、民法906条の2の「財産の処分」に該当するか否かの解釈を巡る争いから当事者全員A,B,Cの合意ができない場合には相続財産の範囲を巡る「前提問題」の争いに合意ができないことになるので、②で述べた通り、引き出された預金等は審判事項ではなく、訴訟事項となってしまいます。

906条の2はその文言のあいまい性から遺産分割実務に混乱を与えています(裁判所も調停委員も法律実務家も誤解されている方がたくさんいます)。

3 調停における議論の重要性

裁判官、調停委員、弁護士だからといって万能ではなく、思い込みや性格、知識や経験の不十分さなどから自分の間違いに気がつかない方や複数の選択肢があるのに自分の考え方が唯一の選択肢であると強い自信を持っている方がいます。

ですから、私たちは人一倍勉強して、人一倍経験を積んで、間違いを指摘してあげたり、他の考え方もあることを指摘してあげることが必要になります。

そういった場合には、たとえ相手が感情的になっても、人間誰しも間違いはあるのですから、肩の力を抜いて、相手に敬意を払いながら、丁寧な口調で対応したいものです。

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