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相続人間の交渉を上手にするコツ 2023.6.18

1 相続人調査

相続人全員の承諾がなければ遺産分割は無効です。そのためには遺産分割協議書に相続人全員の署名捺印が必要です。そこで、相続人調査をして相続人全員を探し出さなければなりません。

相続人調査は遺産分割だけではなく、相続税などの税務申告、不動産登記、保険、銀行預金などの名義変更などの相続手続きを行うためには除戸籍謄本などが必要であるし、法定相続情報証明制度の法定相続情報一覧図の写しを利用するためにも除戸籍謄本等が必要です。

ですから、相続人が明らかだから相続人調査はいらないと言う方がいますが正しくありません。

しかし、除戸籍謄本等の入手は本籍所在地の市区町村役場に申請すればよいので決して難しくはありません。大変難しいという法律専門家をネットで見かけますがそんなことはありません。

もっとも以上のような法制度の説明は読み物としては面白くありません。気楽に読める実践的エッセイを目指す「相続・遺産分割漫歩」の趣旨にも合いません。そこで、今まで取り扱ってきたケース中から変わった経験談をいくつかご紹介します。

2 相続人の生死が調査できないケース

遺産分割の協議をするには相続人の所在地を調査し、相続人と連絡をとらなければなりません。ところが所在地が判明しても相続人と連絡が取れない場合がよくあります。所在地に相続人が居住していない場合、相続人の居住地が海外の場合など枚挙に暇がありません。

3 試行錯誤を繰り返して解答にたどり着くというのは人生によくあることですが、この場合にはそのような経験が味わえる場合があります。

相続人が複数いるケースで、相続人の1人が戸籍や住民票を調べても住居所がわからない場合にはその相続人を探すことになります。年賀状や手紙、介護や病院、ネットやブログ、近隣や職場情報などなど。

しかし、限界があります。

ポストに郵便物やチラシが溜まってる、植木雑草伸び放題、住んでいる形跡はない、不在なのは間違いありません。

でも、ある日再訪したら、ポストの中はキレイサッパリ、投函口にガムテープが貼られている、誰か管理者がいるみたいです。戸籍を調べたら妻と既に離婚し、妻がたった1人の関係者、連絡したらケンモホロロ。高齢者なので福祉の世話になってるだろうが、個人情報で居場所は分からず。

4 そこで法律の出番です。

不在者財産管理人(民法25条以下)と公示送達(民法)です。

不在者財産管理人は裁判所などでは「不在管」と略称しています。利害関係人が家庭裁判所に申立てをします。相続人調査で時間や労力を無駄にしないで済みそうです。

これらは遺産分割調停ではよく利用されます。

しかし、不在管は管理人の費用支払いのためにまとまった現預金の遺産が必要なので限界があります。

十分な現預金がない場合には不在管の申立てをせずに、公示送達で遺産分割の申立てができればありがたいですが、公示送達が利用できるのは不在者の遺産分割上の利益の喪失が問題とならないような、相続人間で争いがないようなケースに限られているので限界があります。

そこで、翻って不在者が死亡したものと扱えれば、相続人ではなくなり、不在者を除いて遺産分割を進められるので、家庭裁判所に失踪宣告の申立て(民法)をすることを検討することになります。しかし、7年間の生死不明の証明や3か月以上の裁判所の調査が必要になり、やはり限界があります。

また、不在者の生死が不明の場合と判断するのが難しい事案もありました。不在者が北朝鮮に渡航し居住していたことはことは分かったのですが、国交がなく生死の調査が出来なかったことがありました。

5 令和5年4月1日から施行された令和3年の民法改正法は、共有者(相続人を含む)は、相続開始時から10年を経過したときに限り、裁判所の決定で、持分取得・譲渡制度により、所在等不明相続人との共有関係を解消することができるようになりました(新民法第262条の2,第262条の3)。

しかし、これは、10年経過すると特別受益や寄与分による法定相続分の修正ができなくなり、民法に規定された法定相続分で持分取得や譲渡される相続財産が確定する制度と連動しているので、10年を待たなければなりません。

実際には10年を待つことは困難です。ただし、先ほどの北朝鮮の事例のような生死不明の判断ができない場合には朗報となるかもしれません。

6 結局出発点に立ち帰り、手足を使った不在者調査から縁を切ることができそうにありません。

でもそれほど悲観的になる必要はありません。メニューはたくさんあるので、具体的なケースに応じた最適な選択肢を検討すれば良いのです。

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